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平成19年9月2日 鹿児島県 20代女性からのご相談

ご住職様 子供をひとり持つ母親です。まだ病院には行っておりませんが、どうも2人目を妊娠したようです。
子供を出産した後、いろんなことが私ひとりに降りかかってきて、精神的にまいってしまいました。

それをなんとかしようと、この4月に就職しました。
今は子育て、仕事、家事が軌道に乗り始め、人生って楽しいなと感じてきたところで、仕事を辞めたくありません。
しかも腰痛がひどく、一人目の時もなんとか耐えたということもあり、中絶しようと思っています。

でも誰に相談しても「バチが当たるからやめた方がいい」と言われるばかりです。
その産後のことを考えると今から苦しくて前向きにはなれません。
このまま周囲の反対を押し切って中絶手術を受けてもよいでしょうか?
わがままな相談で申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い致します。

西光寺住職です

大変重大なご相談をいただきました。
あなたの夫のご意見が見当たりませんが、あなたの夫のご意見も「誰に相談しても」の一人に入っているのでしょうか。
仕事も家事も軌道に乗っているところとのことですが、仕事は辞めなければならないのですか。
出産への躊躇は多分一人目の時のいろいろな精神的肉体的な苦痛がトラウマになっているのではないでしょうか。

私の結論を申し上げますと、できるだけ中絶は止めてください。
中絶は絶対だめだとは言いません。
「それは仕方のないことだ」と言える程の理由に当らないと思うからです。

縁あって、宿善あってやっとこの世に人として生まれてくることが認められた命です。
人として生まれてくることがどれほどのものであるのか。あなたのお腹にはそんな大変な奇跡が起ったのです。
命は授かりものです。それにあなたに宿ったからといってもその命はあなたの「もの」ではないのです。

今、そのお子さんが無事に生まれ五年後十年後の元気に育ったかわいい姿を想像してみてください。
あなたや家族の幸せな様子を想像してみてください。
ご参考までに次の話を紹介します。実話ですよ。

数年前ですが40歳台のある女性から伺った話です。
幼いころから厳しかった母親に対していつか気持ちの中に「自分に対してなぜこんなに厳しいのだろう、なぜもっと優しい母親の下に生まれてこなかったのだろう」という思いからいつしか母親に対して嫌悪感を持つようになったそうです。
その気持ちは大人になっても変わらなかったそうです。

そして最近、叔母のある一人から聞いたそうです。
「あなたがお腹に宿ったときにあなたのおかあさんはとても喜んだんだよ。
でもね、そのときちょうど家にいろいろなことがあって中絶を勧められたそうよ。
でもね、あなたのおかあさんは『絶対人に迷惑をかけないから生むんだ』といって頑張ってあなたを生んだんだよ。」

「それからあなたのお母さんは『しっかりした人様に迷惑をかけたりしない子供に育てるんだ』と言っていたから、あなたに対してちょっと厳しい躾になったかもしれないねえ」

そこまで聞いた彼女は涙を抑えることができなかったそうです。
それまでのわだかまりはそのとき吹っ飛んだそうです。
そして自分自身が恥ずかしい気持ちになったそうです。
それから彼女は「自分はおかあさんから命をいただいた」と思うようになったそうです。

そんな母親も最近高齢となり痴呆が進み介護を必要とするようになったそうです。 別居している状態ですが暇があれば母親の元にいってお世話しているそうです。
そしていつもこころの中で感謝しているそうです。「生んでくれてありがとう」と。

あと、ご本人も三人の子供に恵まれたそうですが、子供にも「生まれてきてくれてありがとう」と心から思えるように なったそうです。
そして「この歳にして少しだけ人生観が変わった」と言っていましたが、わたしは「少しだけ」 ではなかったと思えるのです。

人は自分が人として生まれてきた因縁を知ったとき人生観が変わります。
そして感謝の生活を送ることができます。 当山ホームページの「法話」8月分を見てください。 人として生まれてくることがいかに大変なことなのかが書かれています。
参考になればと思います。

合掌

曹洞宗正木山西光寺