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(うつ病患者はこの10年で2.4倍にもなるそうです。まさに現代病の最たるものと言えるでしょう。ご相談の中から一つの例をご紹介します。)

平成22年6月6日 女性からのご相談

5年くらい前からうつ病を患っています。
気分に斑があり最近気分が滅入る事が多く死にたくなります。
病気を早く治したいと思ってもなかなか上手く行きません。
周囲とコミュニケーションも上手くとれず自分の存在価値が解らないです。
なんの為にいるのか解らないです。もう生きているのが辛いです。

西光寺住職です

うつ病は誰でもかかり得る病といわれています。
「こころ」を持った人間の宿命かもしれません。

その原因の多くはストレスからくる心のバランスの崩壊です。
人は何か大きな失敗や不安や後悔の念などがあることで、心がバランスを失ってしまうのです。
現代の優れた医学や薬学で相当対応できるようになりましたが、実態に追いつけません。
でもまずは心療内科という専門もありますから、そこの先生の診察とカウンセリングを受けられるのが良いかと思います。
改善が視られなかったら遠慮無くセカンド、サードオピニオンを求めるべきでしょう。

また、「うつ」は病気だという認識が大事です。それは、病気であれば必ず治るという気持ちを持つことで前向きになれるからです。

体の不調はたいてい外観に現れますが、心の不調は案外目に見えにくいので周囲に理解されにくいものです。 それが辛いところですね。
病気には対症療法も大事ですが、その本質から治していくことこそ一番肝心だと思います。
体の病気は食生活や生活環境に問題があるように、心の病も心の環境に問題があると言えるでしょう。

しかし、心には医学や科学の及ばない領域があるのです。
人類文明幾千年の歴史をもってしてもいまだ心の「実体」の解明に至っておりません。
心と向き合うことは人類永遠のテーマだと言っても過言ではないでしょう。
しかし、実は過去にその問題を解決した人がおるのです。それこそがお釈迦さまです。

実はお釈迦さま自身も世の中のさまざまな矛盾や不条理の問題でノイローゼになり、その解決を求めて出家されたのです。
さまざまな苦行や修行を経て終にお悟りを開かれたわけですが、そのお悟りの中身こそ、「安心」(あんじん)なのです。

文字通り心の「あんしん」、安寧です。人は誰でも心の安心があってこそしあわせなのです。
また心も体も一体のものですから、その両方が同時に健康でなければなりません。
人の幸福はまさに心と体の健康次第なのです。
だから人は健康でなければ厭世感に陥いったり死にたくなったりするのも十分あり得ることです。

ですから禅の修行ではまず心と体の安静を求めます。これを「禅定」(ぜんじょう)といいます。
心を休め雑念を取り除き心を軽くします。つまり心の掃除です。
やがて心が澄んでくれば素直にものが見えてきます。
そして真空になった心に真理が飛び込んできます。
このようにお釈迦さまは真理を悟り「安心」(あんじん)を得たのです。

禅は真理を知ることで自己の尊厳を知ると説いています。
自己の尊とさを知れば人生に自信と感謝が持てるのです。
仏教は言うまでもなく人が幸せになるための教えです。
禅こそ仏教そのものなのですから。
ただし禅は宗教ですから、信仰心がないとモティべーションが持てないかもしれません。
とにかく、何よりも今あなたに必要なことは自分自身の尊厳を信じることです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺