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仏教に関するQ&A

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五蘊盛苦(心身から生じる苦しみ)とは…

四苦八苦の五蘊盛苦(心身から生じる苦しみ)とはどういう苦しみなのでしょうか?
五蘊(色・受・想・行・識)が絡んだ苦しみなのでしょうが、詳しく分かり易く教えていただければ嬉しいです。

住職からの答え

「五蘊盛苦」についてお話します。
「観自在菩薩が深般若波羅蜜多を行ずる時、五蘊は皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したもう」 これは般若心経の最初の言葉です。
「観音さまが深い修行に入られ五蘊は皆空だと悟られたときに一切の苦厄から解放された」という意味です。
般若心経の主旨が初めに示されている言葉ですが、同時にこれは仏教の基本理念でもあるのです。
「五蘊は皆空なり」と悟ってこそ一切の苦しみから解放されるというのです。

では五蘊とは何でしょう。
「蘊」(うん)とは「たくわえ」とか「集まり」とかの意味です。
仏教では世界は五つの集まりで成り立っていると考えるのです。
その五つの集まりが、色・受・想・行・識なのです。

「色」とは物質的存在という意味です。形あるものの全てです。
あとの「受・想・行・識」は「心」の世界を意味します。
「受」は、感覚とか知覚などの感受作用を意味します。
暑いとか寒いとか、旨いとかまずいとかの五感による感覚です。
「想」は、「受」で受けたものを心の中でイメージすることです。
「行」は、イメージを意志に移行させることです。
「識」は、判断することです。

般若心経はこの五蘊がすべて「空」であると説いています。
この世の一切は物体という「色」と心である「受・想・行・識」で成り立っており、その全ての実体は「空」であるというのです。
それを悟ってこそ「一切苦厄」を「度」せるのであり、本当の安楽が得られるというのです。

ではなぜ、「空」を悟ることが救いになるのでしょうか。
人の苦しみ悩みのもとになるのは、まず「肉体」にあると考えられます。
肉体は物質ですから諸行無常の道理に従って常に変化しています。病気や老化が無縁な人などいません。
肉体の変化による悩みや苦しみは必ずやってきます。これは人としての宿命です。
人にとって病気や老化による悩みや苦しみはほんとうに辛いものです。

それと同じようにあるのが心からくる悩みや苦しみです。
そのすべては渇愛によるものです。それが、嫉妬、憎悪、貪欲を引き起こすのです。
その苦しみ悩みのすべては「受・想・行・識」の中で生まれるのです。
だとすると、人間生きている以上様々な苦しみから逃れることなどできないわけです。

その通りなのです。これこそ人間の人間たる宿命なのです。
ただし、その現実のなかでお釈迦さまはそれでも救われる道を発見されたのです。
それが、「行深般若波羅蜜多」での「悟り」なのです。

その内容が明示されているのが般若心経であり、その主旨は「五蘊は皆空なり」と悟ることであるのです。
五蘊が空であることをしっかり理解できれば、苦そのものの実体などどこにも無いということがわかるのです。
 一切が空である以上そこには「苦」など存在しないということです。

お釈迦さまは人生は全て苦であるが、その四苦八苦つまり「五蘊盛苦」から救われるには「五蘊皆空」と悟ることにこそあると説かれたのです。
そのためにはただただ「般若波羅蜜多」を「修行」することです。これが唯一救われる「法」なのです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺