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法話

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法話--平成21年8月--

こころ(14)--帰崇心--

8月は何と言ってもやはりお盆です。
昔から盆・正月と言いますが、それは日本人にとっての大きな生活の節目だからです。
満員列車の混雑や何十キロもの車の渋滞に耐えても帰省するのは帰巣心からなのでしょうか。

いやいやそこには理屈を超えた心の癒しがあるからなのです。
生まれ育ったところには言い表せない愛おしさと懐かしさを感じるのが人の常ですが、特にお盆には不思議と心が故郷に向かいます。
それは久し振りに家族の温もりに触れると同時に、共にご先祖様にご供養のご挨拶を申し上げるところに一層の癒しと安らぎを感じるからなのです。

特にお盆には何よりも仏さまとご先祖様への報恩感謝の気持ちが深くなります。
この心こそ「帰崇心」(きそうしん)に因るものです。
その帰崇心を一層高めてくれる行事が盂蘭盆会であり施餓鬼会なのです。

本堂 当山でも毎年8月5日に恒期の施餓鬼会(せがきえ)が修行されます。
毎回230名からのお詣りを頂き、お寺にとっての最大行事となっています。
特に本年は併せて客殿落慶式を厳修致しました。

客殿建設につきましては檀信徒皆様の絶大なる篤志に心より感謝申し上げます。
お陰さまで予定通りの立派な客殿が完成致しました。
特に現今の未曾有の不況の下で枉げてご協力を頂いたことに衷心より敬意を表する次第であります。

これも偏に檀信徒各位の檀那寺に対する深甚なる帰依の心と、ご先祖さまへの報恩敬慕の心に因るものと存じます。その心こそ「帰崇心」であります。
その功徳を集め近隣諸山の諸老師の御随喜の下落慶法要が無事円成致しましたことに改めて感謝申し上げます。
客殿
以下は御導師をおつとめいただきました龍泉寺御住職三浦良憲老師の香語です。
お許しを頂きましたのでここに御紹介させて頂きます。

夏本番 猛暑自から冷かなり
人をして刮目せしむ正木山の風光
時代の脚光に古格を改め
斬新なる客殿天空に聳ゆ
 山門是日
客殿落慶の吉辰
虔んで大恩教主本師釈迦牟尼仏及び尽十方一切の三宝に奉覲し無上仏果菩提を荘厳す
恭く惟れば
仏日燦然と輝きを増し 常に如是経を転ずること百万巻なり
大光明裏の善男善女人 等しく法悦の白蓮花開く
堂頭老師因みに野衲をして箇の朽木を焚かしむ
下情感激の至りに堪えず客殿玄関  専ら祈る
山門鎮静 中外咸安
火盗雙除 檀信帰崇
十方檀那 福寿長久
万難消滅 諸縁吉祥
 任他
黒漆の崑崙夜裏に走る底
忽ち一強茎草を拈じて梵刹を建立し竟る
宜なる哉
仏祖共に手を携え 眉毛相結んで讃嘆随喜 破顔微笑 拍手喝采ならん
団々珠めぐり玉珊々 即今無上菩提荘厳の那一著 又且如何
 喝 客殿玄関集合写真
暑中もし涼を得んと欲せば
暫く客殿の人となり 親しく冷暖自知すべし
世の中は今より他になかりけり
波のまにまに行こうじゃないか
伏惟れば 珍重

御老師の深邃なる境涯の一端を頂き誠に痛み入りました。
三浦老師は私が十代の頃品川東照寺で伴老師のご指導を受けていた時の単頭老師です。
その時以来のご縁で今日まで何かとご指導を頂いております。
平成11年には愚僧の晋山式の助化師をお願いした大恩師でもあります。

合掌

曹洞宗正木山西光寺