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法話

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法話--平成25年12月--

四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その5

人は普段当たり前だと思っているものが失われた時ほどショックを受けます。
当たり前に存在しているもの・・・それは、肉親家族であり、財産であり、地位名誉であり、そして自身の健康であったりするのです。

そのどれも失われた時に改めてその重大さを痛感するのです。
例年、この時期になると年間の重大ニュースが発表されますが、良いニュースもあれば悲惨なニュースもあります。
災害などのような不可抗力のものもあれば、自己責任によるものもあります。

その自己責任といえば、今年の最たるものが、猪瀬東京都知事の五千万円問題でしょう。
あれ程の人が、欲に目が眩み人生最大の墓穴を掘ってしまったのです。
おそらく本人は「なぜ、どうしてこんなことに」と、自身を責め苦に追い込んでいることでしょう。

信頼、名誉、地位、・・・失ったものはあまりにも大きすぎました。
しかし、自己責任である以上誰も同情などしてくれません。
あるのは侮蔑と哀れみの眼差しだけです。
自尊心の強い人だけに更に哀れです。

地位や名誉、実績などそれ自体まったく「人格」の担保にはならなかったのです。
どんなに知恵や見識があっても欲望の罠にかかると一瞬のうちに奈落の底です。
彼の得意な「見識」の中に、もし「因果必然」という仏法の道理の弁えが少しでもあったらこんなことにはならなかったのかもしれません。実に残念です。

人生にはさまざまな不幸事がありますが、それが自己責任によるものであれば、人は日頃の精進から十分それらを避けることができるのです。
その一つがまさに「生活習慣病」と言えるのです。

さて、前回から、健康であるためには先ず、正しい生活習慣が大事であることを繰り返してきましたが、その一つが食生活です。

英語に、〈You are what you eat.〉という格言があります。
これは、日本語に訳すと「あなたはあなたが何を食べているかで決まる」となります。
私たちの体は、日々の食事によって養われています。
つまり、健康も病気も日々の食事の積み重ねの結果であるということです。

日本でも1996年、厚生省は、ガン、心臓病、肝臓病、糖尿病、脳血管疾患、高血圧、高脂血症など、それまで「成人病」と言っていたものを「生活習慣病」と改称することに決めました。

これは、前回とりあげたアメリカの「マクガバン・レポート」などから始まった食と病気の関係の見直しによって、これらの病気が「年齢」ではなく「生活習慣」に由来するものであることが明らかになったからです。

新谷先生は述べられています。
「いま、私たちのまわりには多種多様な食物があふれています。
その数多くの食物のなかから、日々何を選ぶかによってあなたの健康は決まります。
健康で長生きしたいと思うなら、たんにおいしいから、好きだからということだけで食べ物を選んではいけません。

どんな人でも、若いときからたばこを吸って、毎日お酒を飲み、食事は肉中心で野菜果物はほとんど食べない、そして牛乳やヨーグルト、バターなどの乳製品を食べていたら、だいたい六十歳ぐらいには間違いなく生活習慣病になります。

遺伝的に動脈血管が弱い人は高血圧や動脈硬化、心臓病などになるし、膵臓の弱い人は糖尿病になるかもしれません。
女性なら子宮筋腫や卵巣膿腫、乳腺症からこれらのガンに進行することもありますし、男性なら前立腺ガンになったり、肺ガン、大腸ポリープ、変形性関節炎を発症することもあります。

どのような病気になるかは、その人の遺伝的要因や環境によっても異なるので明言はできませんが、何らかの病気を発症することは間違いありません。
ガン患者の食歴を調べていくと、動物食(肉や魚、卵や牛乳など動物性の食物)をたくさんとっていたことがわかりました。」

さて、ここで驚くべきことは、先生は、なんと、牛乳やヨーグルト、バターなどの乳製品が体に悪いということを明言されていることです。
拙僧もいささか驚いたわけですが、ここからは先生が体に悪いと言われるその「牛乳」についての主張をご紹介します。多分納得されると思いますよ。

「加工する前の生乳の中にはたしかにいろいろな『良い』成分が含まれています。
炭水化物である乳糖を分解するエンザイムやリパーゼという脂肪を分解するエンザイム、プロテアーゼというタンパク質を分解するエンザイムなどさまざまなエンザイムもたくさん含まれています。
抗酸化作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、免疫調整作用などの効果があるラクトフェリンも入っています。

しかし市販の牛乳では、そうした『良いもの』は、加工される過程ですべて失われてしまっているのです。

市販の牛乳が作られる過程は、だいたい次のようなものです。
まず牛のオッパイに吸引機を取り付けて搾乳し、それをいったんタンクにためます。
そうやって各農家で集めた生乳をさらに大きなタンクに移し、かき回してホモゲナイズします。

ホモゲナイズというのは「均等化」という意味です。
では何を均等化するのかというと、生乳に含まれる脂肪の粒です。
生乳には約四%近い脂肪が含まれていますが、生乳をそのままにしておくと脂肪分だけがクリームの層となって浮上してしまいます。

こうしたことを防ぐために、現在はホモゲナイザーという機械を用い、脂肪球を機械的に細かく砕いているのです。
こうして作られたのが「ホモ牛乳」と呼ばれるものです。

ところが、ホモゲナイズすることにより、生乳に含まれていた乳脂肪は酸素と結びつき、「過酸化脂質」に変化してしまいます。
過酸化脂質というのは、文字通り酸化しすぎた脂肪ということですが、別の言い方をすれば「ひどく錆びた脂」ということになります。

さらに、ホモゲナイズされた牛乳は、さまざまな雑菌の繁殖を防ぐために加熱殺菌されることが義務づけられています。
世界の主流は七十二度の高温短時間殺菌法ですが、日本の主流は百二十から百三十度という超高温短時間殺菌法です。

何度もいいますが、エンザイムというのは熱に弱く、四十八度から破壊を起こし、百十五度で完全に壊れてしまいます。

また、超高温にされることによって、過酸化脂質の量はさらに増加します。
そしてさらに問題なのが、タンパク質が熱性変質するということです。
卵をゆでると黄身がボロボロになるのと同じように、牛乳のタンパク質も同じようになり、ラクトフェリンも失われてしまうのです。 こうして日本の市販牛乳は、健康を阻害する食物になってしまっているのです。

臨床データによれば、牛乳や乳製品の摂取はアレルギー体質をつくる可能性が高いことが明らかになっています。
これは妊娠中の母親が牛乳を飲むと、子供にアトピーが出やすくなるという最近のアレルギー研究の結果とも一致しています。」

過酸化脂質と化した牛乳は「ひどく錆びた脂」であり、動脈硬化をはじめさまざまな生活習慣病の元凶の一つだったのです。 まだまだ牛乳についての問題点がありますが次回に回したいと思います。

合掌

曹洞宗正木山西光寺