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法話

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法話--平成25年10月--

四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その3

この時期、どこでも柿がきれいです。
個人的には赤く熟した鈴なりの柿の木を見るのが好きです。
たわわに実った赤い柿が、静閑な枯れた田園のなかで映し出すコントラストは実に風流です。

晩秋の秩父もそんな風情豊かな郷でした。
柿の木が特に多く、行く先々で柿の実の成す造形の美しさに見入ってしまいました。
今年は夏の高温のせいで例年ほどの紅葉ではないということでしたが、秋の風情を充分満喫できるものでした。

そんな風光明媚な秩父の郷に、この月末一泊二日の札所巡りをしてきました。
千葉県第12教区主催の住職4名、壇信徒29名のツアーでしたが、爽秋に相応しい実りある旅でした。

実は、今回昨年に続いて二回目の旅でした。
札所は全部で34ヶ所あり、3年掛けて全所お詣りしようという企画で、昨年が第一回目だったのです。
昨年12ヶ所を巡り、今年11ヶ所、そして来年11ヶ所で結願の予定です。

それぞれの札所に着いたら、先ず全員で記念写真を撮り、続いて、般若心経、延命十句観音経三遍のお経を挙げます。
回向は、東日本壇震災被災地早期復興、国家昌平、万民富楽と、大震災物故者、会員各家先祖代々精霊のご供養です。

今年は2回目でしたが、参加者みなさんのうち殆どが昨年に続いての参加でした。
昨年は初めてのことでもあり、みなさん慣れないお経に着いていくのがやっとでしたが、今回は大分修得されかなり"斉唱"できるようになりました。

中には殆ど諳んじて誦経できる人もいたようです。
おそらく相当練習されたか、普段から仏様にご供養のお勤めをされているのでしょう。

よく、我々坊さんがお経を諳んじることで感心されたりすることがありますが、お経を諳んじることは、実はそれほど難しいことではありません。

毎日繰り返し読むことで、誰にでもできるのです。
暗記の努力ではなく復唱の努力で自然と身につくのです。
身につくということは体が覚えるということです。
何ごとも「体が覚える」ことでなければ修得できません。

芸事でもスポーツでも、さまざまな特殊技能の世界でも同じことが言えるのです。
ピアニストに指先を動かしている意識はありません。
サッカーの選手に足を蹴っている意識はありません。
神の手を持つ外科医に手術中手を使っている意識はありません。

ピアニストはピアノと一体になっているからです。
サッカー選手はボールと一体に、外科医は手術器具と一体になっているからこそ見事な仕事ができるのです。
何ごとも"自己"と"使うもの"とが一体になる世界こそ極め付きなのです。

お経の功徳も、まさにお経と一体になることで得られるのです。
昨年、今年と札所巡りをした人達も、だいぶお経の世界に入ってまいりました。
あと十一ヶ所、来年巡礼を終える頃には、一層の功徳が得られている筈です。
また元気にお会いして巡礼の功徳を分かち合いたいものです。

その巡礼の功徳こそ、心身ともに健康になれることです。
元気に霊場巡りをすることで、元気が元気を呼ぶのです。
まさに「病気にならない生き方」の一つに違いありません。
ガッテンして頂きましたでしょうか。

さて、本題に入りましょう。
スペースが少なくなってしまった関係で、今回は、エンザイムの敵である毒素とフリーラジカル(活性酸素)について述べてみましょう。

現在エンザイムは、健康をつかさどるカギとして世界的に注目を集め、研究が進みつつあります。
免疫力、生命力、そして細胞を修復・再生させる働きを担っているのは、さまざまなエンザイムですが、さらに、心が生み出す心の毒である、ストレス、不満、愚痴、哀しみ、嫉妬、怒り、といったマイナス感情にも反応することが分かってきたのです。

ですから、体内にエンザイムが豊富にあれば、生命エネルギーも免疫力も高いといえるのです。
まさに生命活動のすべてはエンザイムによって支えられていると言っても過言ではありません。

エンザイムはさまざまな生命活動に使われますが、もっとも多くのエンザイムを消費するのは体内に悪い物が入ってきたときに行われる「解毒」作用においてです。

アルコール、たばこに含まれる科学物質、食品添加物、カフェイン、タンニン、病気の原因となるウイルスや病原菌、環境ホルモン、活性酸素、電磁波、ストレス等々、これらはすべて体の中に入ると、解毒するために大量のエンザイムが使われます。

そのため、解毒しなければならない要素が多い人ほどエンザイムの消耗が激しく、その結果、健康維持に必要なエンザイムが不足し、病気になりやすくなると考えられるのです。
つまり、体内のエンザイムの消耗を抑え、いかに充分な状態に保っておくかが、まさに健康状態を決定するのです。

生物が生きていくために必要不可欠なエンザイムですが、人間自身が作ることのできる量は決まっているといわれています。
体からエンザイムがなくなったとき、人の命も終わってしまいます。その大切なエンザイムをもっとも消耗させるのが、フリーラジカルです。

フリーラジカルとは、活性酸素のことで、普通の酸素の数十倍ともいわれている強い酸化力(ものを錆させる力)をもったもので、細胞内の遺伝子を壊し、ガンの原因をつくるなど、さまざまな健康被害をもたらすことで知られています。

フリーラジカルは、呼吸をしているだけでも発生しています。
人間は酸素を吸って細胞内の糖分や脂肪を燃やしてエネルギーを作り出していますが、このときに体内に取り込んだ酸素の二%がフリーラジカルになるといわれています。

悪者扱いされることの多いフリーラジカルですが、じつは体内に入り込んだウイルス、細菌、カビなどを退治し感染症を防ぐという、体にとって欠かせない働きもしているのです。

ただ、それが一定量以上に増えてしまうと、正常な細胞の細胞膜やDNAを壊してしまうということです。
私たちの体には、フリーラジカルが増えすぎてしまったときのために、フリーラジカルを中和する働きをもつ抗酸化物質であるSODと呼ばれるエンザイムが存在します。

ところがSODは、四十歳を過ぎると急激に減少してしまいます。
生活習慣病の発病が四十歳を過ぎたころから多くなるのは、このエンザイムが減少するためではないかとも言われています。

現代社会は、ただでさえフリーラジカルが発生しやすい環境にあります。
ストレス、大気汚染、紫外線、電磁波、細菌やウイルスの感染、レントゲンや放射線などを浴びたときもフリーラジカルは発生します。

しかし、フリーラジカルの発生原因のなかには、こうした外的要因のほかに、自分の意志で防ごうと思えば防げるものもたくさんあります。
たとえば、飲酒やたばこの習慣、食品添加物の摂取、酸化した食物の摂取、薬品の摂取などはその代表的なものです。

生活習慣病は文字通り生活習慣にあるということを心に銘じたいものです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺