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法話

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法話--平成26年2月--

四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その7

今年も明けてすでに2ヶ月になろうとしています。
時間の経つのは実に早いものです。
そのように時間を意識しない毎日を送れる人はしあわせです。
それは、その人が今現在健康で順風満帆な生活を送っているという証しだからです。

他方重病に罹り余命あと数ヶ月などと宣告された人にとって、突如として残酷な人生を突き付けられたことになります。
残された時間とどう向き合うか、どう最期をむかえるか、不条理な宿命を恨み途方に暮れます。
その心中如何ばかりか。

そんなご家族のショックも計り知れません。
ご本人にどう寄り添い、残りの時間をどう共有したらよいのか、限られた時間の中で少しでも有意義なことを求めて葛藤しなければなりません。
人生最大の苦しみここに極まれりです。

そんな、残された時間と対峙しなければならない人生とはあまりにも残酷です。
そのような患者さんが当山のお檀家さんの中にも何人かいらっしゃいます。
いずれもガン患者さんでご本人から直接明かされたわけですが、ただただ同情を禁じ得ません。

ただ、住職として正直申し訳ないと思うのは、自信をもって励ます言葉が見当らないことです。
只ただ心安らかにご家族と過ごせる時間が少しでも長引くことを祈るしかないのです。
今までにもそんな状況に陥った方が何人もいましたが、こちら側がいつも恐縮させられるのはその気丈さです。
淡々と話されるしっかりした態度に感銘してしまうのです。

そして、そんな重病な方々が、たいてい口にされるのは、それぞれの過去の食生活や生活習慣に対しての反省の弁です。
食事の内容や飲酒、喫煙などの生活習慣にほとんど頓着してこなかったことを心から後悔されるのです。

まさに「後悔先に立たず」です。
余命を宣告される苦しみ、それは決して他人事ではないのです。
そんなことがあなたの身に起こるのは明日かもしれません。
そうならない前にしっかりした生活習慣を身につけましょう。

前々回、英語の、〈You are what you eat.〉という格言をご紹介しました。
直訳しますと、「あなたとは、あなたが食べたそのものからできている」ということになります。
くどいようですが、健康であるためには先ず、正しい知識に基づいた正しい食べ物を食べるということです。
これが鉄則でありこれが全てです。

そんなことで、前回牛乳につて述べさせていただきましたが、今回はヨーグルト、マーガリンなどについての新谷先生の説をご紹介しましょう。

牛乳と並んで同じように身体に良い物とされているのがヨーグルトです。
「カスピ海ヨーグルト」「アロエヨーグルト」など、各種のヨーグルトのイメージは極めて健康的です。

しかし、先生は著書のなかで、「ヨーグルトを常食としていると腸内環境と腸相は確実に悪くなる。
これは35万例の臨床結果から得た結論として自信をもって言える」と述べられています。

ヨーグルトを食べている人から、「胃腸の調子が良くなった」「便秘が治った」というようなことをよく聞きますが、先生は、これは「乳糖」を分解するエンザイム(酵素)「ラクターゼ」が不足することによって起こされる消化不良によるものだといわれます。

つまり、ヨーグルトを食べると、軽い下痢を起こし、それまで腸内に停滞していた便が排出されたのを「乳酸菌のおかげで便秘が治った」「胃腸がすっきりした」などと勘違いしてしまっているというのです。

ヨーグルトの原料は牛乳ですから、ヨーグルトの成分にも当然「乳糖」が含まれています。
乳糖が成人の体にとって良くないことは前回述べたとおりですが、繰り返せば、「乳糖」を分解する酵素である「ラクターゼ」は成人すると体内から減少してしまいます。

その理由は、大人になれば乳を飲む必要がなくなるからです。
ヨーグルトも牛乳と同じ成分からできているのですから、ヨーグルトにしても同じことが言えるのです。
前回も言いましたが、そもそも「乳」を飲むのは本来赤ちゃんだけです。それが「自然の摂理」というものです。

このように、成人して分解酵素「ラクターゼ」が無くなったにもかかわらず「乳糖」を摂ることで当然胃腸に消化不良が起きるのです。
「胃腸の調子が良くなった」「便秘が治った」と思うのは、実は消化不良による「現象」で、「乳酸菌のおかげ」だと思うのはまったくの思い違いだったのです。

そもそも人間の腸にはもともと乳酸菌が常在菌としているのです。
そして外から入ってくる菌やウイルスに対するセキュリティシステムができあがっているのです。
たとえそれが体によい乳酸菌であったとしても、常在菌でないものは、このセキュリティシステムに引っかかり殺菌されてしまうのです。

まず最初に働くのが「胃酸」です。
ヨーグルトの乳酸菌は、胃に入った時点でほとんどが胃酸によって殺されます。
この頃「腸まで届く乳酸菌」も登場していますが、シャーレの中の実験の結果がそのまま常在菌のいる実際の腸の中では通用するとは限りません。

同じ牛乳から作られるものに「バター」があります。
生乳から生クリームを取り出し、それに振動を与えると脂肪球の幕が壊れ、脂肪が固まりバターができるのです。

牛乳の成分が凝縮された大変おいしいものですが、乳脂肪という動物性脂肪が凝固したものであることからあまりお奨めできる食品とはいえません。
常温で固まった脂は人間の体内に入ると動脈硬化の原因となるからです。

そのバターよりもさらに体に悪いとされているのが、実は「マーガリン」なのです。
動物性脂肪の「バター」よりも植物性の油で作られたマーガリンのほうがコレステロールも少なく、体に良いと信じている人が多いと思いますが、実はこれは大きな間違いなのです。

マーガリンは、大豆などの植物油に水素を添加してバターのような風味に調整した脂肪酸です。
この脂肪酸とは「トランス型脂肪酸」と呼ばれ、自然界には存在しないものです。

トランス脂肪酸は人工的に作り出された飽和脂肪酸であり、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすほか、ガン、高血圧、心臓疾患の原因になるなど、さまざまな健康被害をもたらす元凶の一つなのです。

もともと植物油というのは常温下では液体となっています。
これは植物油には不飽和脂肪酸が多く含まれているからです。
同じ油でも動物性の脂肪が常温で固体であるのは、飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。

ところがどうですか、マーガリンは植物油であるにもかかわらず固まっています。
それは、水素を添加し、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に人工的に変化させているからなのです。
つまり、マーガリンはトランス脂肪酸を含んだ、これ以上ないという悪い油になっているのです。

「トランス脂肪酸」とはもともと自然界に存在しなかったものです。
いわば、それは人間の欲望が生み出した、まさに「自然の摂理」に叶わない産物なのです。
「人間は自然の一部であり、自然の摂理に反すると人間は病気になる」というのが新谷先生の信条です。
食物に限らず自然の摂理に則った生き方にこそ健康も幸福も存在するのです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺