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法話

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法話--平成29年9月--

四諦 - 苦諦その4 - 病苦その2 - 病気にならない生き方その33
口内フローラ 全ての病気は口から侵入

国会が突如解散しました。「国会フローラ」の解体です。
安倍総理は、8月に内閣を改造したばかりです。
「仕事人内閣」と自画自賛しながら、首相の所信表明演説や代表質問も一切行われませんでした。

解散権をもつ総理の独断で行われたのですが、大義がないというのが大方の見解です。
内閣の都合や判断で一方的に衆院を解散するのは解散権の乱用でしょう。
選挙に700億円もの税金をかけ、なぜ今なのか、まさに異例の解散です。

解散には名前が付けられますが、今回はさしずめ「もりかけ解散」でしょうか。
数々の疑惑について、「丁寧な説明をいたします」といったにも拘わらず、国会の召集の要求も無視。
御自分では「国難突破解散」と銘打っていますが、その実、「疑惑隠し解散」「逃亡解散」と言われても仕方ありません。

安倍さんは、「信がなければ大胆な改革も外交も進められない」と強調しました。
しかし、まず必要なのは加計問題などで招いた不信を“丁寧な説明”によって解消することからでしょう。

選挙で勝ちさえすれば信任を得られるというのは、順番が逆です。
野党が準備不足の今なら勝てると見たのでしょう。
己が延命のために解散するという、まさに「エゴイズム解散」でもあり、国会の私物化にほかなりません。

安倍さんが再登板してから5年近く、「安倍1強」のおごりやひずみが見えてきた中で、さらに4年続くことの是非が問われる選挙です。
憲法や安保、経済、財政、社会保障など、さまざまな重要課題をどうしていくのか。

民進党も「名を捨て実をとる」として事実上の解党をし、安保法制に賛成でなければ入党できないとする小池「希望の党」の元にあえて駆け込みました。
政治家もやはり人の子、保身ファーストで「実」を取らなければならないのでしょうか。
日本の岐路を決めるのは国民です。
美しい「国会フローラ」をつくるため国民には賢明な選択をしてもらいたいものです。

以上、またまた、政治の話になってしまい恐縮です。
「法話」に政治の話はふさわしくないという節もありますが、拙僧の真意は仏教の「諸善奉行・諸悪莫作」の教えに基づいた「平和ファースト」の考えからだとご理解下さい。

さて、本題に移ります。
前回に引き続き森永宏喜先生の著書を中心に学んでまいります。
雑誌「PRESIDENNT」の調査で、こんな興味深い結果が出ていました。
アンケート「健康で一番後悔していること」のトップ10です。

  1. 1.歯の定期診断を受ければよかった。
  2. 2.スポーツなどで体を鍛えればよかった。
  3. 3.日頃からよく歩けばよかった。
  4. 4.腹八分目を守り、暴飲暴食をしなければよかった。
  5. 5.間食を控えればよかった。
  6. 6.頭髪の手入れをすればよかった。
  7. 7.タバコをやめればよかった。
  8. 8.ストレスの解消法を見付けておけばよかった。
  9. 9.よく笑い、くよくよ悩まず過ごせばよかった。
  10. 10.不規則な生活をしなければよかった。

55歳~74歳の男女1,000人へのアンケートで「スポーツ」や「ウォーキング」を抑え、堂々トップに挙げられたのが「歯の定期診断を受ければよかった」なのです。
それほど、晩年になってから、特に歯を失うようになってから、歯の大切さを痛感している人が多いことがわかります。

ですから、今からでも歯のケアをしっかりしておけば、このような後悔や悩みが少ない晩年を送ることができるのです。
そして何より、命を守る最後の砦が「食べること」です。
食べられないと、命を維持するための栄養が十分摂れなくなくなります。
歯をケアすることは、しっかり食べること、命を守ることでもあるのです。

森永先生は、口の中で全身の健康状態がわかるといわれます。
まさに、口は健康のバロメーター。それも、とびきり鋭敏で感度のよいバロメーターだそうです。

歯ぐきや口腔粘膜はターンオーバーが速く、敏感で変化が現れやすいからです。
ターンオーバーは細胞の入れ替わり、つまり新陳代謝のことですが、これが皮膚の6倍のスピードで行われます。

皮膚のターンオーバーの周期が28日だそうです。
骨では200日もかかるそうです。それが、歯ぐきは、たった5日で細胞が入れ替わるといのですから驚きです。

口の中は、外部からのいろいろな刺激が入ってくる場所のため、早めに細胞を入れ替えて、抵抗力をキープできるしくみになっているのです。
ちなみに口腔以上にスピードが速いのは小腸の粘膜で、2日ほどで入れ替わるそうです。

常に外部からの異物にさらされ、これらを排除しなければいけない場所では、いつも細胞をリフレッシュする必要があるのです。
そんなわけで、口の中はさまざまな変化に対応すべく感度の良いバロメーターとなっているのです。

先生は、「あらゆる病気は口から侵入する」といわれます。
飲んだり食べたり、呼吸をしたりするたびに、口には体の外からいろいろなものが入ってきます。

水や栄養分のように有益なものもあれば、細菌のように有害なものも否応なく入り込んできます。
体に異常をもたらす病原体のうち、経口感染、飛沫感染、空気感染・・・さまざまな形で、口から侵入してくるものがたくさんあります。
口はまさにあらゆる病気の入口でもあるのです。

ということは、そうした病気の感染を防ぐためには、口の中、とりわけ口腔粘膜の健康が非常に大事なキーポイントになるということです。
なぜなら、粘膜は、病原体の侵入を防いで体を守るバリアの役割を果たしているからです。

口腔粘膜の特徴は、表面を粘液(唾液)でカバーされています。
このネバネバの粘液が、病原体をブロックする働きをしています。
ネバネバのモトは、ムチンというタンパク質の一種で、それが病原体を排除する機能を果たしています。

それと、リゾチームやラクトフェリンという強い抗酸化作用のある物質も含んでおり、腸内細菌によい影響を与えています。
口の中をよい状態に保つことは、あらゆる病気を予防することにつながっているのです。

つまり、歯を中心に口の中の状態がよければ、さまざまな病気の予防や健康が維持できるということです。
元気な高齢者が増えれば、今後ますます重要な国の課題でもある医療費の削減にもつながります。
口の中の健康は最高のアンチエイジングと言えるのです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺