▲上へ戻る

法話

  1. ホーム
  2. 住職ご挨拶

法話--平成24年4月--

十三仏(地蔵菩薩)--大地の命の蔵--

今回は十三仏の五七忌の導師、地蔵菩薩のお話です。 一般的に「お地蔵さま」と呼ばれていて、観音さまなどと並んで特に親しまれている有名な仏さまです。それにしてもなぜ「地蔵」というお名前なのでしょうか。

地蔵菩薩の意味・・・

地蔵菩薩は、サンスクリット語でクシティ・ガルバと言います。
クシティは「大地」、ガルバは「胎内」とか「子宮」の意味とのこと。
真言は、「オン カカカビサンマエイ ソワカ」です。

大地が全ての命を育む力を蔵(かく)し、また、人々の苦悩を無限の大慈悲心で包み蔵し込んでしまう所から名付けられたとされます。
その地蔵菩薩の対になるのが虚空蔵菩薩でが、地蔵菩薩の独自性により今日では対で祀られることは無いようです。

釈迦牟尼仏の入滅後、56億7千万年後に弥勒菩薩が出世されるとされていますが、その間仏陀の名代として六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)を輪廻する衆生を済度する菩薩といわれています。

故事として伝わるのがその昔インドにいた2人の慈悲深い王の話です。
1人は自らが仏になることで衆生済度しようと考えました。
もう1人の王は自らの意志で地獄に堕ちて迷える衆生を済度しようと考えました。この後者が地蔵菩薩だといわれます。

「一切衆生済度の請願を果たさずば、我、菩薩界に戻らじ」との決意で六道に自らの足で行脚し、救われない魂を救い続けるのが「地蔵菩薩」なのです。

申すまでもなく、菩薩とは仏の地位にありながら、あえて衆生世界に身を堕として六道世界で苦悩する衆生済度を本願として奔走する正に大慈大悲の仏さまです。

衆生を済度する第一人者として、その霊験は膨大で、実に多岐に及んでおりその人気の程がわかります。
少例を挙げてみると、延命地蔵、白寿地蔵、開運地蔵、勝利地蔵、無尽地蔵、ぽっくり地蔵、首つぎ地蔵、とげぬき地蔵、釘抜き地蔵、波きり地蔵、身代わり地蔵、子安地蔵、腹帯地蔵、子育地蔵・・・

水子地蔵菩薩・・・

幼子が親より先に世を去ると、親を悲しませた親不孝の罪により三途の川を渡れず成仏できないとか。
賽の河原でただ石を積み重ね石塔を作り、只々親の供養をするしかないのです。

しかし折角作った石塔も鬼によって蹴散らされてしまうのです。
その鬼のいじめから救ってくださるのが地蔵菩薩です。
経文を聞かせて徳を与え成仏への道を開いてやるのは有名な話です。
古来より水子地蔵信仰は絶大で今も変わりません。

六地蔵菩薩・・・

また、よく霊園や墓地などの入り口に六体並べて祀ってあるのが六地蔵菩薩です。
これは仏教の六道輪廻の思想に基づき、六道のそれぞれの世界に堕ちた者を地蔵が救うとされる説から生まれたものです。

六地蔵個々の尊称については一定していないようですが、例をあげれば、地獄道から順に法性地蔵、陀羅尼地蔵、宝陵地蔵、宝印地蔵、鶏兜地蔵、地持地蔵となっていたり、或いは檀陀地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、地持地蔵、除蓋障地蔵、日光地蔵となっていたり諸説あるようです。

様相は合掌のほか、蓮華、錫杖、香炉、幢、数珠、宝珠などを持ち物としていますが、これも必ずしも統一されていないようです。

地蔵盆・・・

地蔵菩薩の縁日が毎月24日であり、旧暦の7月24日は盂蘭盆(お盆)期間中であり、24日までの三日間を地蔵盆と呼ばれるようになりました。
地蔵盆は全国的な風習ですが、特に近畿地方を中心とする地域で盛んですが、近年では新暦の8月24日に地蔵祭が行われるのが一般的になっています。

地蔵祭では、町内の人々が地蔵の像を洗い清めて新しい前垂れを着せ、灯籠を立てたり供え物をしたりして飾り付けます。
京都などでは子供が生まれると、その子の名前を書いた提灯を奉納する風習があるそうです。

地蔵菩薩は中近世以降子供の守り神として信仰されるようになったことに由来することから、地蔵祭においては特に子供のお詣りが多く、子供たちのためのお菓子や手料理などが振る舞われたり、子供向けのイベントなども行われ、今日では子供のための祭りとも言るようです。

しかし地蔵盆は、なぜか関東地方には定着しなかったようです。
一説には地蔵信仰の歴史に違いによるもののようです。
特に子供を守り育てるという大きな意義をもつ地蔵盆もしのびよる少子化問題で寂しくなる一方かも知れません。

特に少子高齢化が急激に進んでいる日本の将来を思うと暗澹たる気持ちになります。
これから日本の人口は年々約74万人減少するそうです。
これは静岡市規模の都市が毎年一つずつ減っていくようなものだそうです。

子供は国の宝です。未来を託すのは子供だからです。
なんとか少子化が少しでも止められるようなお地蔵さまの御利益をたまわりたいものです。
しかし、どんな御利益も何もしないで得られるものでは決してありません。
それ相応の善因縁を構築するしかないのですから・・・・

さいごに「地蔵菩薩功徳経」からその御利益をご紹介しましょう。
もし地蔵菩薩のお姿を見たり、この経を聞いたり読誦したり、香や華、飲食、衣服、珍宝などを布施し、供養礼拝を行えば28種の功徳が得られるとあります。

1.

天龍が守ってくれる

2.

善果が日毎増す

3.

勝れた因が集まる

4.

菩提が退くことがない

5.

衣食に豊で不足しない

6.

病気にかからない

7.

水の難、火の難に遭わない

8.

盗賊の被害に遭わない

9.

人から敬われる

10.

鬼神が助けとなる

11.

女が男に転じる

12.

王の女性大臣となる

13.

容姿端麗で相がよくなる

14.

何度も天界に生まれ変わる

15.

或いは帝王になれる

16.

前世に得た智慧によって将来を知ることができる

17.

求める者は皆、従う

18.

眷属が歓び楽しむ

19.

全ての不道理を消滅させる

20.

苦楽の報いの善悪の業を永久に取り除く

21.

苦しみに通じるところが滅びる

22.

夜の夢見が安らかになる

23.

先祖が苦しみから離れられる

24.

前世の福を受け、生まれる

25.

全ての聖者がほめたたえる

26.

素質や能力がすぐれる

27.

哀れみ、慈しむ心を与える

28.

絶対的な悟りを得ることができる

合掌

曹洞宗正木山西光寺