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法話

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法話--平成26年1月--

四諦--苦諦その4 病苦その2 病気にならない生き方 その6

新年おめでとうございます。
みな様各位の一層のご繁栄を祈念いたします。
おかげさまで、当山ホームページもちょうど10年目の新年を迎えることができました。
これも「法話」を見ていただける方々の励ましによるものと感謝申し上げます。

さて、これからの一年間あなたにとって、それぞれの人にとって、果たしてどんな一年になることでしょう。
一瞬先が闇だと言われる人生、何が起こるかわかりません。
しかし、どのような事態であれ、すべては因縁の果報であることを肝に銘じて日々精進したいものです。

「日々精進」こそ、生活習慣の確立と「健康」のみなもとなのです。
その健康にとって、市販の牛乳がいかに良くないものであるかについて前回から新谷先生の説を紹介させていただいておりますが、さらに続けてみたいと思います。

日本では学校給食で、子供たちに強制的に牛乳を飲ませています。
栄養豊富な牛乳は育ち盛りの子供によいとされているからです。
しかし、牛乳と人間の母乳は、その「質」において全然違うものなのです。

牛乳に含まれるタンパク質の約八割を占めるのは「カゼイン」と呼ばれるものですが、これは人間の胃腸にとってとても消化しにくいものです。
免疫機能を高める抗酸化物質「ラクトフェリン」の含有量は、母乳には0.15%含まれていのですが、牛乳にはわずか0.01%しか含まれていません。

また、ラクトフェリンは胃酸に弱い酵素であるため、生後間もない胃が未発達で胃酸の分泌が少ない子供にこそ有用なのであって、胃酸の多い成長した大人が飲むには不適当なのです。

たとえ新鮮な生乳であったとしても、牛乳は人間が食物とするにはふさわしくないということです。
その「あまりよくない食物」である生乳を、さらにホモゲナイズし、高温殺菌し、過酸化脂質という「ひどく錆びた脂」にして子供たちに与えているのです。

もう一つ問題なのは、日本人には、乳糖を分解する「ラクターゼ」というエンザイム(酵素)を充分にもっている人が少ないということです。
この酵素は、腸の粘膜にあり、赤ちゃんのときにはほとんどの人が充分な量をもっていますが、年齢を重ねるごとに減ってくるのです。

牛乳を飲むとおなかがゴゴゴロしたり、下痢をしたりする人がよくいますが、これはこのエンザイムが不足して乳糖を分解できないために起きる症状であり、「乳糖不耐症」とよばれています。
それに当たる人は日本人の場合、約85%にも及ぶそうです。
拙僧自身がそうであり長年の疑問がようやく解けました。

乳糖は、哺乳類の「乳」の中だけに存在する「糖」です。
本来「乳」というのは、生まれたばかりの子供だけが飲むものです。
ラクターゼが不足している人が多い日本人でも、新生児のときはみな充分なラクターゼを持っています。

しかし、乳糖を多く含む母乳を飲むことができる人間が、成長してそのエンザイムを失うということは、やはり成長したら「乳」は飲むものではないというのが自然の摂理なのではないでしょうか。

そもそも牛乳というのは、子牛が飲むためのものです。
したがって、そこに含まれている成分は、子牛の成長に適したものです。
子牛の成長に必要なものが、人間にも有用だとは限りません。

第一、自然界を見ればわかりますが、どのような動物でも「乳」を飲むのは、生まれて間もない「こども」だけです。
自然界で、大人になっても「乳」を飲む動物など一つも存在しません。
それが自然の摂理というものです。

人間だけが、種の異なる動物の乳をわざわざ加工し酸化させ、ある意味最悪の食物にして飲んでいるのです。
その証拠に、市販の牛乳を母牛のお乳の代わりに子牛に飲ませると、その子牛は四、五日で死んでしまうそうです。
エンザイムのない食物では命を養うことはできないのです。

まさに、自然の摂理に反したことをしているのです。
私たち人間は自然の一部である以上、自然の摂理に身を委ねなければ健康には生きられないということは以前から指摘のとおりです。

次に、牛乳とアトピー性皮膚炎の関係についてです。
新谷先生は、子供のアトピー性皮膚炎は潰瘍性大腸炎が関わっていることをつきとめられました。
そして潰瘍性大腸炎はちょうど授乳を打ち切り、牛乳を与えるようになった時期と一致していたのです。

先生は子供たちの潰瘍性大腸炎が食事の内容にあると考え、すぐに食事から、牛乳と乳製品をすべてカットしました。
その結果、血便も下痢も、アトピーすらピタリと治まったのです。

そして、多くの臨床データの結果から、牛乳や乳製品の摂取がアレルギー体質をつくる可能性が高いことが明らかにされたのです。
これは妊娠中の母親が牛乳を飲むと、その子供にアトピーが出やすくなるという最近のアレルギー研究の結果とも一致しているのです。

日本ではここ三十年ぐらいのあいだに、アトピーや花粉症の患者が驚くべきスピードで急増しました。
その数はいまや五人に一人とも言われるほどです。
なぜこれほどアレルギーを起こす人が急増したのか、さまざまな説がいわれていますが、先生は、その第一の原因は、1960年代初めに始められた学校給食の牛乳にあると考えているのです。

「加工」された市販牛乳は過酸化脂質を多く含み、腸内環境を悪化させ、悪玉菌を増やし、腸内細菌のバランスを崩します。
その結果、腸内には活性酸素、硫化水素、アンモニアなどの毒素が発生します。

悪化した腸内環境は潰瘍性大腸炎のみならず、子供が白血病や糖尿病などシリアスな病気を発生する原因となっているという研究論文がいくつも出ているそうです。

さらに驚くべき事は、牛乳の飲み過ぎから「骨粗鬆症」を招くというのです。
人間の血中カルシウム濃度は、通常9~10ミリグラム(100cc中)と一定していますが、牛乳を飲むと、血中カルシウム濃度は急激に上昇するのです。

ところが、急激にカルシウム濃度が上がると、体はなんとか通常値に戻そうと恒常性コントロールが働き、血中余剰カルシウムを腎臓から尿に排泄してしまうというのです。 カルシウムをとるために飲んだ牛乳のカルシウムが、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまうという皮肉な結果を招いているのです。

牛乳をたくさん飲んでいる世界四大酪農国であるアメリカ、スウエ―デン、デンマーク、フィンランドの各国で、股関節骨折と骨粗鬆症が多いのはこのためではないかといわれています。

これに対して、日本人が昔からカルシウム源としてきた小魚や海草類に含まれるカルシウムは、血中カルシウム濃度を高めるほど急激に吸収されることはないようです。
小エビや小魚、海草類は腸内で消化された後、体に必要なカルシウムとミネラル分を吸収するので、体の仕組みに即したよい食物といえるようです。

ところで、今回のこのような内容に対して、拙僧自身はなはだ心苦しいところがあるのです。
それは、お檀家さんの中にも酪農家がいるからです。
もし当事者やその関係者がこの内容を知ったら敵対意識を持たれるかもしれませんね。
拙僧としては、新谷先生の説だと申し上げてただただ謝るしかございません。

そして、どうしても牛乳の味が好きだという人には、できるだけ生乳を酪農家から直接買って飲むことをおすすめします。
生産者の生乳は市販のものとは違って変質されていない分ず~っと体に良いからです。

合掌

曹洞宗正木山西光寺