▲上へ戻る

法話

  1. ホーム
  2. 住職ご挨拶

法話--令和2年4月--

コロナ禍 ―問われる対応 その2 ―

日本は、世界は、この先一体どうなるか、先に何が待っているのか、ただただ不安と恐怖しかありません。
このウイルス禍が一体いつまで続くかまったく分からない。
もはや世界中がパニックに陥っています。

毎日毎日マスメディアは感染状況と感染の恐怖と予防対策を必死に伝えています。
三密を避けるために人の交流は制限され、感染の恐怖から人同士が疑心暗鬼のパニックに陥ってしまい、まさに異常な社会生活を強いられています。

普段やさしい常識のある人でもパニックに襲われると理性や判断力が鈍り、偏見や差別の感情に支配されるのです。
一旦ウイルスに感染してしまった人はまさにゾンビ扱いされるのです。
それほど人の心をおかしくさせてしまう実に恐ろしい病気です。

そんな恐ろしい新型コロナと最前線でまさに身を挺して戦っているのが医療従事者です。
感染者に対し必死に対応している彼らの心身の疲弊は想像に難くありません。
そんな人たちまでが差別や偏見に晒されていることは残念でなりません。

医療従事者は、いま最も頼りにされ、大事にされ、尊敬される立場の人たちではありませんか。
それが、買い物で保菌者のように扱われたり、保育所から子どもの通園を拒まれたり、家族が会社から出勤停止されたり、実に情けない限りです。

その一方、医療従事者に寄り添って感謝のイベントや支援活動も市民の中に広がりつつありまが、医療従事者を追い詰めることは、結果的に医療崩壊を招きかねません。
何より自分自身がお世話になる可能性もあるのです。
自分の身に置き換えてみる位の思い遣りがあって当然です。
人としての矜持が試されています。

今の医療従事者こそ自己犠牲を覚悟した、いつも言うところの「自未得度先度他の心意気」を持ったまさに菩薩だといえます。
誇張でも何でもなく彼らこそ現実の菩薩の化身です。心から敬意と感謝を表します。

さて、これから新型コロナウイルスと闘っていくにあたって、参照すべきはおよそ百年前に世界的に大流行したスペイン風邪だといわれる学者がいます。
歴史人口学者の速水融さんです。以下彼の著書からの情報です。

1918年に始まったスペイン風邪(スペイン・インフルエンザ)では、世界中で2,000万人から4,500万人が亡くなりました。
当時の世界人口は20億人前後ですから、今なら1億人前後が亡くなるような事態です。

日本では40万から50万人が亡くなったといわれます。
スペイン風邪の流行で恐ろしいのは、原因となるウイルスが変異して、毒性を増し、第二波、第三波の流行を引き起こしたことです。

今度の新型コロナウイルスもいつ変異するかわかりません。
いったん抑え込めたとしても、油断してはなりません。
長期戦を覚悟しておくべきでしょう。

日本ではスペイン風邪の流行が、1918年秋から、1920年春までの間に2回起こりました。
終息させるまでに結局、さらに2年ほどかかりました。
原因は渡り鳥が世界各地に運んだのではないかと思われます。

アメリカで始まったといわれるこの感染症は、第一次世界大戦のヨーロッパ戦線に送られたアメリカ軍兵士を介して、ヨーロッパの兵士にも瞬く間に広がり、戦闘どころではなくなってしまいました。

最初の感染者はアメリカから出ていますから、本当は「アメリカ風邪」ではないかと誰もが思うところですが、そもそも第一次世界大戦中どの国も戦争に追われ流行風邪の発表をしないなか、唯一中立国だったスペインがその流行風邪を最初に世界に報じたことによるそうです。

スペインが感染源のように思われ、「スペイン風邪」という不名誉な名前が歴史に残ってしまいましが、実はスペインが発生源ではなかったのです。
これと全く対照的なのが、今回の新型コロナウイルスの発生源となっている中国の対応です。

今回の新型コロナウイルスの発生源は紛れもなく中国武漢です。
誰もがまさに「武漢肺炎」「武漢ウイルス」なる名称がふさわしいと思うのが当然でしょう。

それに対してWHO事務局長テドロス氏は、中国に配慮して、「名前がいわれのない差別や偏見に利用されることを防ぐことが重要だ」として、「COVID-19」と命名しました。
エボラ出血熱(コンゴ民主共和国エボラ川地域)と名付けたことと矛盾します。

WHO事務局長の辞任要求が世界のネット上で炎上しているのも当然でしょう。
米トランプ大統領はWHOは中国寄りだとして資金拠出を停止しました。

武漢肺炎の発生源である中国は、本来なら、習近平主席が世界を混沌(カオス)に陥れている自らの失政の責任を痛感し、国際社会に向けて心からの反省と深甚なる謝罪の意を表明するのが最低限の国際儀礼でしょう。

しかし、あきれたことに中国は「この感染症は、米国が武漢に持ち込んだものかもしれない」とツイートし、意図的に自国の責任を回避して米国に濡れ衣を着せようとしています。これから感染責任を巡っての米中戦争が始まるのは確実です。

なぜ中国は、明々白々な黒を白と言いくるめる詭弁を弄するのでしょうか。
なぜそのような見え透いたウソを平気でつくのでしょうか。
国家グルミで平然とウソをつく、そんな中国にいまさら驚きもしないのはもともとそんな国だという認識があるせいでしょうか。

そんな中国とよく似た指導者がどこぞの国の総理大臣でしょう。
明々白々な黒を白と言い、詭弁を弄して自分の過ちを認めようとしない。
取巻きも一貫して公文書の改ざんや隠蔽で協力し彼を守ろうとする。
正に中国政府と同じ腐敗し切った政権構造が露呈しているのが今の日本政府です。

菅官房長官が、緊急経済対策として国民一人当たり10万円の給付について、自ら申請する意向があるかと問われ、「常識的にはしないと思う」と応じました。
その言葉からも国民を上から目線で見ていることがわかります。(放送作家松尾貴史)

10万円は政府や自分達のものだとでも思っているのでしょうか。
もともと国民から税金として預かった国民のお金ではないでしょうか。
政府はそのお金の使い道を託されているだけなのです。

自分達はこんな少額を受け取るような市民とは別の特権階級だとでも思っているのでしょうか。
「常識的には受け取らない」は市民に対する「上からの施し」であり、それが高潔だったり、美徳だと思っているのでしょうか。

「常識的にしない」、ということは申請する者は非常識のように受け取られます。
そもそも一律給付(普遍的給付)は、すべての人が受けやすいように、受け取っても恥ずかしくないように、検討された支給方法の筈です。

原則としてすべての人が受け取らなければ、受け取る人の心理的ハードルが高まり、あの人が受け取らないなら、自分も受け取らない方が良いのか。
自分は辞退したのに、なぜあの人は受け取ったのか。

繰り返しになりますが、堂々と全ての人が受け取らないと一律給付の意義が縮小してしまいます。
お金に困っていない人は受け取ったあと単純に寄付すればよいのです。
寄付することで周囲に気をつかわせないし、社会に貢献できます。

菅官房長官もさすが総理の女房役だけあって同じ神経回路を共有していることがよくわかります。
30万円給付の閣議決定をひっくり返えされ国民に陳謝する羽目になり、安倍総理の指導力と地盤が揺らいでいます。

安倍政権のコロナ対策は大失敗だという評価がすでに上がっています。
コロナ禍は安倍政権にとって終焉の禍をもたらすのでしょうか。
まさに大きな歴史が刻まれようとしています。
未来は今まさに一人一人の対応にかかっています。

合掌

曹洞宗正木山西光寺