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法話

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法話--令和2年5月--

コロナ禍と安倍禍 ―問われる対応 その3 ―

ようやく「緊急事態宣言」が解除されました。
しかし、日本からコロナウイルスが完全にいなくなったわけではありません。
どこかに潜んでいる以上、第2波、第3波の発生が心配されます。

早々に解除した中国や韓国に発生したクラスターがそれを証明しています。
日本でも同じように第2波、第3波がやってくるのはほぼ間違いないだろうというのが専門家の見立てです。
まだまだこれからが勝負です。

世界的に見ても決して終息に向かっているとは思えません。
世界の感染者が560万人を超え、今も日々10万人の感染者が発生していて、特に南米やアフリカで感染が拡大し続けています。

この新型コロナウイルス感染は、ワクチンもしくは自然感染による集団免疫が成立した時点で収束するというのが合理的な道筋だそうです。
そこでワクチンの開発競争が、米中を中心に激しさを増しています。

最初にゴールした国が最初に経済とグローバルな影響力を手にすることができます。
WHOの集計によると、世界では124のワクチン候補の研究が進み、10種類がヒトを対象とした臨床試験(治験)の段階に入っているといわれます

米政府は100億ドル(約1兆700億円)の予算を確保。中国は1兆元(約15兆円)の特別国債を発行し、ワクチン開発を含めた感染症対策費に充てるとか。
“コロナ戦争“をしている米中双方にとって絶対に譲れないレースです。

では日本はどうかというと、国内の9件の研究にたった72億円の補助だけです。
ワクチンは国が政策として推進する定期接種に採用されれば大きな収益が見込まれる一方、1000億円もの開発費がかかり、なんと9割は失敗に終わるといわれます。

ワクチン開発には、安全性や有効性を確かめるため数千人規模で行う臨床試験が必要です。
安全性が不確かなうちに実用化して、副作用が出たり、感染後にかえって重症化した例もあります。
流行期にしか効果を確かめられないため、実用化には早くても2~3年かかるだろうといわれます。

13年に定期接種となった子宮頸ガンを予防するHPVワクチンは、健康被害を訴える人が相次いだため国は接種の積極的な勧奨を控えたままです。
ワクチン開発にはまさにハイリスクが伴うのです。

厚生省幹部は「ばくちのようなもの。それができる体力のある日本企業は減っている」と指摘します。
ワクチン開発に9割は脱落するということは、感覚的には成功はほぼ無いに等しいということです。よほどの資金力がなければ開発に手は出せません。

では、新型コロナのワクチンにはどの程度の効果が期待できるのでしょうか。
大阪大学免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之教授がインフルエンザワクチンを例にその効果について予測しています。

「最も効果が弱いインフルエンザワクチンは、接種後3~4カ月しか免疫が続かない。重症化こそ防げるが、感染の流行は止められない。新型コロナワクチンも同程度ではないか。ウイルスを攻撃する抗体は感染により作られるが、風邪の原因となる従来のコロナウイルスは、この抗体が半年から1年しか持続しないからだ。強い免疫ができずに感染を防げなくても、重症化を防げればとりあえず十分だ」

いずれこの新型ウイルスのワクチンが開発されても、どの程度の持続性があるのかわかりません。
仮にインフルエンザ並みのものになれば、人類は定期的に繰り返し接種しなければならないことになるかもしれません。

また、この新型コロナウイルスはこれから先どう変異するのか、暑さや寒さ、季節に対してどんな変化があるのか、特に、中国武漢の研究所から誤って漏れた人工のものだという説もあり、まだまだ得体の知れない不気味な未知のウイルスなのです。

緊急事態宣言が解除されたとはいえ、生活が元に戻ることはありません。
特に経済的ダメージは計り知れません。
廃業に追い込まれたり、失業したりした人がどれほどになるのでしょうか。
ネットで「倒産速報」で検索してみたら想像を絶する状況がわかります。

政府は、中小企業200万円、個人事業主100万円の現金給付策を打ち出し、5月8日から給付を開始するとしましたが、申請手続きが難しかったりして、給付が間に合わず倒産に追い込まれた企業が多々あったようです。

国民一人当たり10万円の一律給付金も実際手にした人はまだまだ少ないようです。
確かに1億2000万人分の準備発送となれば、それは大変な作業になるでしょう。
政府は決めるだけですが、その実務に当たる役所こそ一番大変です。

とはいえ、突然一切の収入を断たれ人にとって10万円はまさに命綱です。
そんな人のことを慮ってお役所の人たちには頑張っていただきたいと思います。
お役所の人たちも、二転三転迷走する政府に腹の中では憤っているかもしれません。

安倍政権の支持率がついに27%まで落ちました。
コロナ禍に対する迷走ばかりではなく、以前からの森・加計、桜を見る会、そして今回の黒川検事長ゴリ押しまでの一連の疑惑を考えると当然のことでしょう。

それにしても、この頃の安倍総理を見ていると、どこか滑稽に見えてきます。
コロナ対策のアベノマスクとかけて「森友問題や桜を見る会」と解きます。 その心は「口封じに使います」

休業補償給付金など出し渋る中で、アベノマスクに約466億円もの税金を使ったのに未だ受け取っていない人が多いのです。
国民のまだ五割程は届いていないとか。
着用している人も殆どみかけません。
今更の感じでいらないという人もいるようです。

テレビで見る国会の議員のなかで与野党、閣僚を含めアベノマスクをしている人は当の安保総理、イヤ失礼、安倍総理ただ一人だけです。
安倍さんの映像を見るにつけ思うのですが、なぜ「閣僚は全員アベノマスク着用」を閣議決定しないのでしょうか。

安倍さんの求心力が落ちてきているといわれますが、そのせいでしょうか。
しかし、少なくとも閣僚だけはいくら評判の悪いアベノマスクとはいえ恩義ある安倍さんに対してその位の忖度はあってもよいでしょう。

しかし、個人的な感想を言わせてもらえれば、アベノマスクは安倍総理の厚顔無恥の顔を隠すには小さすぎます。
小さいマスクから厚顔無恥が溢れ出ているのがちょっと哀れっぽいかな。
そんな総理に誰も何も言えない。安倍さんはまさに裸の王様です。

アベノマスクの口封じの効果がなくなりつつある中、安倍政権の終わりが見えてきました。
662名の弁護士団から桜を見る会の問題で刑事告発され、黒川検事長が麻雀賭博で墓穴を掘ってしまい、守護神を失った安倍総理はいよいよ追い詰められました。

また、安倍総理と近い関係にあった河合前法務相と妻の案里参院議員に関する公職選挙法違反事件の捜査を広島地検が進めていますが、そもそもこの事件の発端は安倍さんの個人的な恨みから生まれたもので、これも怨念深い安倍さんらしい顛末です。

昨年の参院選広島選挙区で、安倍総理は不仲である溝手顕正氏を落選させようとして側近であった河合前法相の妻の案里を対抗馬として擁立したのです。
自民党本部は、選挙費用として溝手氏には定額の1500万円を、案里氏にはなんとその10倍の1億5千万円を支給したのです。

安倍さんの怨念のこもったお金をばら撒き案里氏は見事当選したのですが、皮肉にも河合夫妻は公職選挙法違反に問われてしまったのです。
黒川検事長問題でメンツを潰された検察の反撃が始まり、ついに自民党本部に捜査が入ったのです。

河合前法相夫妻の逮捕はほぼ確実で、Xデイは6月10日前後だとか。
当然この件はそこで終わりではありません。
その目指す先は本丸の官邸であり、そこに御します菅大老や城主の安倍晋三お殿様です。

思えば安倍さんはNHKの会長や日銀総裁に自分の思想や政策が重なる人物を据え、自身の憲法解釈変更を認めてくれる人物を内閣法制局長官に据え、国家国民を意のまま操ろうとし、最後に残った検察庁まで牛耳ろうとしたのですからまさに巨悪です。

因果必然、因果応報の鉄槌が下されるXデイは果たしていつになるのでしょうか。
さあ、いよいよ追い詰められた安倍さん、どう出るのか久しぶりに面白い政変劇が見られるかもしれません。

合掌

曹洞宗正木山西光寺